2023年10月から解体・改修工事において建築物石綿含有建材調査者などの有資格者による事前調査が義務化されます
石綿含有建材の使用禁止前に造られた建築または改修工事が行われた建築物などを維持・管理する場合や、解体・改修工事などをする際には、まず石綿含有建材が使用されているか調査を行います。その結果、使用が認められた場合は、作業従業員や近隣住民・利用者の人々に対してリスク管理と対策をとらなければいけないことが、労働安全衛生法や大気汚染防止法などで図られています。
石綿含有健材の事前調査は、発がん物質である石綿の使用有無を確認し的確に把握するための重要な役割を担っています。
国土交通省の告示によって建築物石綿含有建材調査者制度が2013年より始まりました。当初は、利用者をアスベストによる健康障害のリスクから守ることを主な目的としていましたが、2018年には厚生労働省と環境省も加わり、新たな「建築物石綿含有建材調査者講習登録規定」が定められました。
これにより、調査者はアスベストを使用した建築物の維持・管理だけでなく、解体・改修前の事前調査も担うものとなりました。
調査は大きく分けると、@使用している建築物の管理のための石綿調査 A解体・修正のための事前調査の2つがあります。
アスベストによる新たな健康被害者を出さないために、現在も建築物に使用され続けているアスベストの実態を正確に把握し、適切な管理と必要な対策をとることが重要です。
建築基準法では、吹付け石綿などが残っている建築物を既存不適格建築物として報告・検査の対象とし、危険な状態となっている場合には所有者などに勧告と命令を出すことができるようになっています。また、国土交通省は、地震などによる災害時に石綿含有建材からアスベストの飛散の危険性が大きくなることから、災害に備えるための石綿含有建材データベースの作成を地方自治体に求めています。
石綿含有建材を含む建築物の解体と除去のピークは2028年以降と予想され、2020年4月から関係法令の改正により、一定規模以上の解体・改修工事の事前調査結果がアスベスト含有の有無を問わず報告することを義務付けられました。
さらに前述のように2023年10月には、有資格者による事前調査が義務付けられることにより、建築物石綿含有建材調査者の役割は重要となるだけでなく、その責任も重くなっていきます。